解冤とは、文字通り冤恨を解くことです。あらゆる生命がその根本に立ち返るためには、何よりもまず自分が生きて来た中で結ばれた冤恨の火種を消さなければなりません。人と冤恨を結ばず、人と結んだ冤恨を解く生き方こそ、原始返本の積極的な実践課題です。甑山上帝様は「俗に『無隻の良き暮らし』というが、これは『隻が無ければこそ、よく暮らせる』という意味である。」とおっしゃいました。隻とは誰かと恨んだり恨まれたりする関係を結び、それによって生じた感情を意味します。
自分の心に結ばれた冤恨を解くことはもちろんのこと、他人が自分に持った冤恨をも解かなければなりません。人間と人間、人間と自然、人間と神明の間に結ばれた全ての冤恨を解き、現在だけでなく過去に結ばれた冤恨までも全て解くことが出来たとき、真に解冤となるのです。何よりも隻を作らずに生きる徳のある生を歩むべきでしょう。
○ 他人の怨みを買うな。隻となって返ってくるだろう。他人を憎むな。その人の神明が先に知り、これまた隻となって返ってくるのだ。(2:79:2~3)
○ 大軍を率いて敵陣を打ち破ることは如何に栄誉で壮快に見えても、それは人命を奪うことであるが故、悪隻となって前途を塞ぐのである。(2:79:4)