民を思い遣られる心情

甑山上帝様と無極大道

民を思い遣られる心情
天下を遊歴されていた時のこと、甑山が小川の近くを通りかかったとき、ある父娘(おやこ)が腹を空かせて川縁(かわべり)で横たわっていた。その娘が川海老を捕まえて父親の口に入れると、父親はそれを自分の口から取り出して、反対に娘の口に入れるのであった。 甑山はその光景を痛ましく御覧になり、悲しい表情で言われた。
「私が早く恵みを施して、あのように可哀想な民を救わねば。あのようにぼろを纏い、ひもじさに苦しむ人々をあまねく救うであろう。」